MakeDPCM マニュアル

MakeDPCM Version 1.1.0.0


1.基本操作

(1)変換するWaveファイルを用意
(2)オプションを設定する
(3)Waveファイルをウィンドウにドラッグアンドドロップする(複数でもOK)
(4)試しに再生してみる(DPCMボタン)
(5)設定を調整して再コンバート(Convボタン)
(6)納得いくまで調整

変換に成功するとWaveファイルと同じ場所に同名のDMCファイルが出力され、
右上のテキストボックスにファイル名やステータスが表示されます。
初期設定に戻すにはResetボタンを押してください。




2.注意事項

・動作には .NET Framework 4.0 以上が必要(WindowsXP以降が必要)
・プログラムファイルのフォルダ(C:\Program Files)にはインストールしないこと
 (実行ファイルと同じ場所に設定ファイルを保存するため)
・極端な設定にするとエラーになる場合がある
・極端な内容のファイルを入力するとエラーになる場合がある
・出力ファイルは上書きされる
・波形表示は処理が重い
・設定ファイルは終了時に上書きされる(多重起動に注意)
・処理はすべて、「音圧」ではなく「数値」として扱っている


3.各部名称




4.処理の流れ

・画面の左から右へオプションの処理が進む
・各オプション内は上から下へ処理が進む
・本書の6.〜11.が対応する




5.対応するファイルと入力方法

入力方法
・エクスプローラなどから対象のファイルをドラッグ&ドロップする

ドラッグ&ドロップ
・対応するファイルだけ処理する(拡張子で判別)
・複数のファイルをまとめてドロップ可能
・複数のファイルをドロップした場合は順次すべて処理する
・注意:複数のファイルにPRMファイルやDMCファイルが混在する場合、
    後に続くWAVファイルが意図しない設定でコンバートされる

WAVファイル
・拡張子が .wav
・いわゆるWindowsのWaveファイル
・読み込めるフォーマットは次の通り
 ・サンプリング周波数:いくつでも(常識の範囲で)
 ・量子化:8bit or 16bit(8bitは16bitに変換する)
 ・チャンネル:モノラル or ステレオ(ステレオはモノラルに変換する)
 ・圧縮:無圧縮(リニアPCM)

PRMファイル
・拡張子が .prm
・MakeDPCMのパラメータを記録したファイル
・コンバート時にFileOutのPRMにチェックがついているとWAVファイルと同名で出力される
・オプションとEnvelopeとSlopeの設定が復元される
 (EnvelopeとSlopeの設定はWaveファイルが見つかった場合のみ)
・PRMファイルと同じフォルダに同名のWAVファイルがあればコンバートする
・波形表示の状態は復元されない

DMCファイル
・拡張子が .dmc
・Waveにコンバートし、DPCMにコンバートする
・入力ファイル名の末尾に _dmc を追加する
・入力時のDPCMオプションのRate、Firstを使用する
・FileOutのWAVが使用可能になる
・以下のオプションが機能しないように変わる
 ・Wave(全部)
 ・MA
 ・Slope
 ・DPCM(FirstのAuto, Adjust)
 ・FileOut(WAV PRM DMC)

6.WAVEオプション

Speed
・1.00%〜999.99%まで設定可能
・入力したWaveファイルの「サンプリングレートの設定だけ」を変更する
 100.0%で等倍、以下で遅くなり、以上で早くなります。

LPF
 Frequency(LPFの横)
 ・1〜99999Hzまで設定可能
 ・カットオフ周波数
 ・この周波数より高い周波数をカットします

 N(Normalizeの横)
 ・3〜100まで設定可能
 ・数値が大きいほど処理が遅くなり、フィルタの立下りが鋭くなる
 ・数値が小さいほど処理が早くなり、フィルタの立下りが鈍くなる
 
 特性の確認はしていません。フィーリングでGO

Normalize
・Waveファイルの限界まで音量を大きくする
・最大値が上限、または最小値が下限になる倍率を全体にかける

Volume
・1.00%〜999.99%まで設定可能
・全体に割合をかける
 (極端な設定にすると上限下限を超えます)

Envelope
・直線で描いた形の倍率で音量変化させる(ピークが直線に沿うわけではない)
・直線を表示・編集するには波形表示選択のEnvelopeにチェックを入れる
・上限までの倍率を2.0〜10.0で設定可能。
・上限が2.0〜10.0倍、中央が1.0倍、下限が0.0倍
・WAVEオプション側のチェックボックスを右クリックすると直線がリセットされる

DPCMが追い付けない部分にコンプレッサ(手動)をかけたり、
減衰音の減衰量操作に使用できます。

TrimZero
・先頭と末尾から音量が±512以下のサンプルを削除
・注意:Waveファイルが短くなる
・注意:先頭と末尾から連続しない部分は削除しない

65536段階(Wave)を64段階(DPCM)でサンプルし直すと
1(DPCM)あたり1024(Wave)になり、0をまたぐので±512となる。
1(DPCM)以下はノイズにしかならないのでDPCM的には不要。


7.MovingAverage

MA(MovingAverage)
・マイナス側の振幅(音量)を検出し、Wave全体のマイナス側ピークを下限に沿わせる
・DPCM変換後、減衰音が消える直前のノイズを軽減する
・三角波やノイズの音量を極力大きいままにできる

Type
・SMA(Simple Moving Average) そのサンプルを中心に指定lengthサンプルの幅で平均を求める
・WMA(Weighted Moving Average) そのサンプルから遠いほど重みが直線的に軽くなる
・EMA(Exponential Moving Average) そのサンプルから遠いほど重みが指数関数的に軽くなる

Leng(Length)
・移動平均を求める幅
・1〜10000を指定可能(WAVEのサンプル単位)

Amp(Amplifier)
・求めた移動平均の値を増幅する
・0.01〜10.0を指定可能

Bias
・加算する値
・-10000〜10000を指定可能(WAVEの値)


8.Slopeオプション

Slope
・Waveの振幅(音量)はそのままに、波形全体を直線に沿わせる
・直線を表示・編集するには波形表示選択のSlopeにチェックを入れる
・Slopeオプション側のチェックボックスを右クリックすると直線がリセットされる

Zero
・直線をWaveの音量0の線として波形を沿わせる

Min
・直線をWaveの下限の線として波形を沿わせる


9.DPCMオプション

Rate
・DPCMのサンプリングレートを指定する

First
・最初の音量を指定する
・0〜63を指定可能
・AutoをチェックするとWaveの最初の音量から求める
・注意:再生開始時のDPCMの値はFirstの2倍にする

Adjust
・0〜1023まで設定可能
・変換時にWaveの値に加算する値

DPCM値が変化するWave値の境目を調整します。
Waveの小さい音が連続する部分で違いがあります。
0付近では「ボー」となり、512付近では「ピー」となります。



10.DMCオプション

Padding
・データ長を16byte境界に合わせる
・追加されるデータは、MAまたはSlope有効時は0x00、どちらでもない場合は 0x55
・設定ファイルにて dmc_padding_proc=True であれば、足りない場合に追加する(初期値)
・設定ファイルにて dmc_padding_proc=False であれば、余分な場合に削除する
・注意:実際には16byte境界+1byteになる

Limit(画面上は入力欄のみで表記はない)
・Limit:データ長が4081byteを超える場合は超える部分を削除する
・NoLimit:データ長に制限をかけない
・Streaming:4081byte毎にファイル出力する(NSD.Lib用MMLも出力する)


11.FileOut

・変換後に各ファイルを出力する
・出力ファイルはWaveファイルのある場所に出力する
・出力ファイルは上書きされる
・WAVはDMCファイルを入力した場合にのみ有効になる


12.波形表示選択

Envelope
・ピンク 
・WAVEオプションのEnvelopeの直線を表示し、編集可能にする
・Envelopeの処理を有効にするにはWAVEオプション側にチェックをつける

Slope
・黄色 
・Slopeオプションの直線を表示し、編集可能にする
・Slopeの処理を有効にするにはSlopeオプション側にチェックをつける

WAVE(in)
・青色 
・WAVEオプション処理後の波形を表示する

WAVE(out)
・灰色 
・DPCM処理前の波形を表示する(Slopeオプション処理後の波形)

MA
・緑色 
・MovingAverageで生成された波形

DPCM
・赤色 
・DPCMの波形

色の変更
・設定ファイルの color_ で始まる項目を変更すること
・0xで始まる16進数表記8桁であること
・上位から2文字(1byte)毎に Alpha、Red、Green、Blue
・Alphaは00が透明、FFが不透明


13.波形表示/拡大縮小

波形
・基準線が3つあり、上から上限、中央、下限
・WAVE(in)、WAVE(out)、MA、SlopeはWAVE波形であり、上限は32767、中央は0、下限は-32768
・MA、SlopeはWAVE波形であるが、処理のために使用される
・DPCMはDPCMを再生した波形であり、上限は63、中央は31or32、下限は0
・Envelopeは割合を示す直線であり、上限は2.0〜10.0、中央は1.0、下限は0.0
・注意:画面を広くすると処理が重くなる

直線
・点は左クリックのドラッグで上下左右に移動が可能
・点の左右の移動は隣の点を越えられない
・左端、右端の点は左右の移動は不可
・点を追加するにはShiftキーを押しながら左クリック
・点を削除するにはCtrlキーを押しながら点を左クリック
・注意:画面外に移動可能だが、再度移動できなくなる

拡大縮小
・左右は拡大と縮小が可能で、画面の大きさによらない
・上下は拡大が可能で、画面の大きさによる


14.ボタン類

Conv
・最後に入力したWaveファイルを現在の設定で変換する
・出力ファイルは上書きされる
・注意:複数ドロップしても最後にコンバートした1つだけが対象

WAVE
・WAVEオプション処理後のWaveを再生する
・注意:各種オプションを変更してもConv(変換)しなければ再生されるWaveは更新されない

DPCM
・DPCMを再生する
・注意:各種オプションを変更してもConv(変換)しなければ再生されるDPCMは更新されない

Stop
・再生を停止する

Reset
・各種オプションを初期設定にする(画面上で変更できるもののみ)


15.キーボード操作

・ESC:停止
・A:コンバート
・S:停止
・Z:WAVE再生
・X:DPCM再生(レート15)
・D:DPCM再生(レート14)
・C:DPCM再生(レート13)
・F:DPCM再生(レート12)
・V:DPCM再生(レート11)
・G:DPCM再生(レート10)
・B:DPCM再生(レート9)
・H:DPCM再生(レート8)
・N:DPCM再生(レート7)
・J:DPCM再生(レート6)
・M:DPCM再生(レート5)
・K:DPCM再生(レート4)
・<:DPCM再生(レート3)
・L:DPCM再生(レート2)
・>:DPCM再生(レート1)
・+:DPCM再生(レート0)
・R:Reset


16.情報表示

WAVE
・file: ファイル名
・rate: 再生レート Hz
・sample: サンプル数
・length: 時間 msec
・value: 最小値 / 最大値

DMC
・file: ファイル名
・size: ファイルサイズ byte
・sample: サンプル数
・length: 時間 msec
・value: 最小値 / 最大値 (振幅)

*** Error occured ***
・エラーが発生した
・設定を見直すこと

*** Failed... ***
・エラーが発生するなどして変換に失敗した
・設定を見直すこと


17.MA・Slopeの意味

意味
・DPCMの波形が音量0に沿うようにする

0に沿わせる利点
・三角波とノイズの音量をなるべく大きくしたままにできる
・迫力が出る(?)
DPCM音量の数値($4011の値)が大きいとき三角波ノイズ音量が小さくなり、
逆にDPCMが小さいときは三角波ノイズ音量は大きくなります。
また、DPCM音量の数値が小さいほど、実際の音量変化が大きいのです。
ファミコンの不思議ですね。

0に沿わせる欠点
・作るのが面倒
・再生開始の音量が違う音(31とか)を併用するとプチノイズが出る


18.ライセンスなど

著作権表示
MakeDPCMの実行ファイルとソースコードの著作はすべてDDSSに帰属します。
Copyright (c) 2013,2014 DDSS, All rights reserved.

ライセンス
以下の条件を満たす場合に限り、
「MakeDPCMの実行ファイルとソースコード」(以下は本ソフトウェアという)の
「改変を含めた使用または再配布」(以下は使用という)を許可します。

・悪意に基づいた使用をしてはならない
・一部または全てを使用する場合は著作権者を偽って表示または呼称してはならない
・本ソフトウェアの使用によるすべての事象の発生や変化について、
 著作権者はこれを保障しない。また、責任を負わない。


19.連絡先

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